お役立ち情報|がんばれSE ①

がんばれSE

第1回 システムエンジニアにとってサービスとは

鈴木君は、朝からクレーム対応で大忙し。
山田君は、一昨日から仕様変更で大忙し。
田中君は、お客様の検収で不合格となり、朝から対応会議で大忙し。
システムエンジニアは、このような緊急で重要なイレギュラー作業に多くの時間やコストを割いているものです。

考えてみれば、システムエンジニアがクレームを受けたり、仕様変更が発生したり、検収で不合格になるのは、顧客から「私は不満足だから、満足させてくれ」と言われているのと同じことです。
システムエンジニアはサービス業ではないけれども、「満足」や「サービス」について考える必要がありそうです。

また産業構造のサービス化の進展で、IT業界でもソフトウエアパッケージやハードウエアよりもサービスの売上比率が上回ってきています。IT業界での「サービス売上」とは、コンサルティングや保守保全エンジニアリング(CE業務)が主ですが、顧客の求めるサービスは単にそれだけではありません。
顧客は、全てのシステムエンジニアにコンサルティング能力やサービス能力を望んでいます。顧客は、従来は付加価値的と思われていた「サービス」をエンジニアにも当然のように求めているのです。

ですから、システムエンジニアが自分達の業務を、サービスという側面で見直してみることが大切です。

一般的にサービスには、次の3種類があります。
1)無料・値引きサービス
2)機能的サービス
3)心理的サービス
この3つのサービスを、システムエンジニアの業務に当てはめてみましょう。

「無料・値引きサービス」とは、多くの人が真っ先に考えるサービス活動です。「ランチにはコーヒーがサービスで付きます」とか、「この作業は無料でサービスさせていただきます」などのコストがかかるサービスです。日本で考えられるサービスとは、このように無料・値引きという意味で使われることが多いのです。しかし、このサービスは基本的にコストがかかるため、会社やプロジェクトが組織的/戦略的に考えるべきことです。

「機能的サービス」とは、本来のエンジニアリング活動や、成果物の機能や品質の提供です。例えば保守サービスには、スピードと正確さが要求されます。システム開発なら、モジュール間インターフェースの正確さや、システムが正常(仕様通り)に動作することが要求されます。
この機能的サービスは、本来のエンジニアリング業務ですが、相手が満足するか不満足なのかという観点で、システムエンジニア一人ひとりのコア・サービス能力が問われているとも言えます。

「心理的サービス」とは、相手の個人的な気持ちに応えることです。例えば、ハンバーガーショップの店員が笑顔で接客するようなシステムエンジニアの“態度”や“気配り”であったり、お客様のニーズや期待に応える“共感”や“配慮”です。機能的サービスより、ずっと付加価値的なものです。
例えば、「システムエンジニアの鈴木君は、会議での態度が悪い!」とか、「エンジニアの山田君はちゃんと私の要求を聴こうとしない!」とか、「田中君は、僕らのこと考えているとは思えない!」というクレームや、(クレームにはしないけれども)相手のそういう気持ちは心理的サービスの範疇です。

これまで、3つのサービスについて説明しました。
機能的サービスと心理的サービスで顧客が満足すれば、無料・値引きサービスの必要性はかなり少なくなります。さらに以下の事例のように、システムエンジニアの心理的サービスが充実すれば、クレームや仕様変更などが減少して、機能的サービスの質が向上するのです。

例えば、クレームや仕様変更の原因のひとつは、システムエンジニアだけでなく顧客自身も気づかなかった顧客ニーズが、仕様書をフリーズした時点でなお、仕様書の外に存在することです。この原因は、エンジニア側の心理的サービスの不十分さであることが実に多い。つまり顧客やプロジェクトメンバーへの心理的サービスが不十分なために、顧客やメンバーの積極的な仕様作成等への参加を阻害してしまい、打合せやデザインレビューが不完全に終了してしまうことが原因になるのです。

こんな事例もあります。私がエンジニアだった頃、仲間内で「クレームがないのは、システムが使われていない証拠かもね」などと言っていました。心理的サービスの視点では、全くクレームがないとか、全く仕様変更がないことは、システムエンジニアにとって注意のサインなのです。なぜなら、顧客がシステムを使っていなければ、クレームや仕様変更は発生しません。そして、システムが使われていないとしたら、顧客は諦めているか、全く満足していない可能性が高い。この結果、リピート依頼がなくなったり、顧客が無料・値引きサービスや無理難題ばかりを要求してくるようになるかもしれません。

システムエンジニアとって「心理的サービス」は、大切な能力だとおわかりいただけたでしょうか。
次回のコラムからは、顧客やプロジェクトメンバーに心理的に満足してもらえる心理的サービスのスキルやマインドについてご紹介していきます。

オイコスメンター小前俊哉コラム「がんばれSE」

オイコスメンターの小前俊哉が、システムエンジニアの皆様に向けておくるコラムです。

小前 俊哉 オイコス メンター

■三菱電機コントロールソフトウエア株式会社 神戸本社開発部
UNIX/インターネット/ソフトウエア工学/OS等の研究開発および技術教育講師
ソフトウエア開発環境の研究と企画・開発、最新コンピュータ技術セミナー講師/技術論文執筆

■オムロン株式会社 東京本社EWSシステム事業部商品企画G
UNIXワークステーション(コンピュータ)LUNAの商品企画業務
OS/アプリケーションの仕様検討と開発管理、OEM担当、開発管理とリリース管理
SE/営業向け商品説明研修講師

■日本ウイルソンラーニング株式会社(現ウイルソンラーニングワールドワイド株式会社) 東京本社
コンサルタント兼インストラクター(パフォーマンスコンサルタント)
ハイテク業界コンサルティング担当/大手電機メーカー、および代理店向け研修講師実施
営業研修/コミュニケーション研修のインストラクター・ライセンス取得

■アルパイン情報システム株式会社
アルパイン株式会社情報システム部業務の受託(情報システム白書作成など)
システム保全グループ課長、技術企画グループ課長、事業企画・マーケティング担当/社内SE研修講師

■アルパインビジネスサービス株式会社
アルパイン株式会社人事総務部出向(人材開発担当)
コンピテンシー導入企画、社内職場風土調査 いわき地区での企業内教育講師(新入社員研修、管理者研修、リーダシップ研修)
営業推進グループ課長、教育G課長(PC教育、eラーニング企画、研修事業)

■2001年 人材育成コンサルタント、研修講師として独立。

■2009年より株式会社オイコスにてメンターをつとめる。

▷ 第一回「システムエンジニアにとってサービスとは」
▷ 第二回「満足の三原則」

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